木目金

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木目金

木目金とは、種類の異なる金属を重ね合わせて接合させ、展性、塑性(延性)に富む金属の特徴を生かして木目模様を織りなした金属、または技法のことをいいます。

江戸時代前期にあたる1651年に生まれた出羽秋田住正阿弥伝兵衛(Shoami Denbei)、本名・鈴木重吉によって発案されました。

高温で赤くなった状態の金属を金槌で何度も叩いては鍛えるという作業を繰り返し、薄くなった金属を鏨(たがね)と言われる道具で彫りを加え、さらに金槌で薄くすることによって重ね合わせた色の異なる金属が木目状に浮かび上がります。

ちなみに、「木目金」という言葉自体も最近になって作られた言葉ではなく、はるか昔、古の時代から使われていた言葉であることは、様々な文献などに記載されていることからもわかります。

木目金

木目金の起源

木目金が誕生した江戸時代よりもはるか昔、色の異なる色漆を何層にも重ね合わせ、唐草文様や渦巻文様を掘り下げて模様を出す「屈輪彫り」という技術が、室町時代に中国から日本に輸入されました。
この「屈輪彫り」の技術を応用し、金属で木目模様を作ったのが始まりではないかといわれています。

木目金を発案した羽秋田住正阿弥伝兵衛(本名・鈴木重吉)が生まれたのは江戸時代初期の(1651年)元号・慶安の時代。
鍔工(刀装具を作る職人)の一派として名高い正阿弥に弟子入りをして江戸で修行を積んだ鈴木重吉は、後に秋田へ移住。その後、佐竹藩にお抱え工として仕え、刀装具の名工として名を残しました。

木目金の危機

1876年、廃刀令が公布されて帯刀が禁止。木目金を知る多くの職人たちは廃業に追い込まれ、伝承が途絶えてしまいます。

昭和の時代、残された文献や実物などを参考に復活を試みますが、作り手が極端に少ない木目金を知る人はほとんどいませんでした。

ところがその後、刀装具に使用されていた日本の伝統「mokume gane」としてアメリカを中心に海外で火がつき、木目金の認知度が世界中に伝播していきます。それに伴い現在では、日本国内でも人気が高まりつつある状況になっています。

木目金の用途

木目金の技術が完成した江戸時代には、大名や上級武士が持つ高級な刀装具に使われることが多く、金、銀、銅を主にそれらを割合で変えた合金で多種多様な色合いを出していました。
現在では、結婚指輪や婚約指輪、小物、茶器、酒器、花器、鍋、皿など多岐にわたって使用され、結婚指輪や婚約指輪にはプラチナや様々な色合いを出したK18ゴールドなどの色金で多くのものにその製法が使われ手作りされることが多くなっています。

木目金リング一覧

【参考文献】2000年4月9日付 朝日新聞 東京地方版/秋田 29頁、2001年9月1日付 朝日新聞 東京地方版/秋田 32頁、2004年8月28日付 朝日新聞 東京地方版/秋田 26頁、2009年11月6日付 朝日新聞 大阪地方版/石川 30頁、2005年10月19日付 毎日新聞 地方版/秋田 24頁、「宝石の四季」 No.198、 No.199 「技の伝承 木目金の技法について」、アートマニュアルシリーズ メタルのジュエリークラフト、「人間国宝・玉川宣夫作品集」燕市産業資料館・木目金の製造方法